←第1話へ
「うわぁ…凄い人気だねぇ…!」
思わずそう呟いてしまうほど、ジェラート屋は外まで行列が出来ていた。これはこのまま並ぶのか、別の似たようなお店にくのか、はたまた違うことをするのか…。私がりかとまこちゃんになんて相談しようか迷っている間に、りかが口を開く。
「まぁ折角きたんだから、並ぶか!」
「そうだね、案外早そうだし」
りかの提案にまこちゃんも同調してこのまま列の最後尾で待つことになった。
………いっつもこうだ。
優柔不断な私は、すぐ物事を決められず、その間にりかが素早く決めてくれる。そしてその度に自分の中でなにか劣等感のようなものを感じる。こんな性格直したい…。どうして私は同じ双子なのに、りかみたいに出来ないんだろう…。そんな悶々としたことを考えていたら、音もなくりかの顔が目の前にあった。
「わっ、りか」
「ちょっと今私の話聞いてなかったでしょ!!」
「え!いやっ…」
「人の話も聞かずになに考えてたのよ」
不満顔をしたりかが私に迫ってくるけど、こんな暗い考えをしていたなんて知られたくない。私は思わずりかの後ろの方を指差した。
「あ、あのお店が可愛くて…見てたの!!」
辺りで目についたお店を指差して、気を紛らわせようとした。せっかくの放課後が私のせいで暗くなるのは嫌だ。そんな私の咄嗟の行動に、意外にもまこちゃんが反応した。
「あ!あの雑貨屋さんいいよね~。私前行ったけど、オシャレで可愛い雑貨がいっぱいあったよ。」
そう言われてみると、確かにお店の外側からでも、シンプルだけどオシャレで使い勝手のよさそうな品々が見える。見ているだけで時間があっという間に過ぎそうな空間だなと感じられた。
偶然指差しただけだけど、本当に気になってきた…。今度いってみようかな…。そんなことを考えているときに、りかが口を開く。
「え~そう?どれも高そうだし私は好みじゃないかな」
私と違ってYES・NOがはっきりしているりかはばっさりと切る。そんなやり取りをしていたら私達の注文の順番は思ったよりも早くきていた。
「なんだかんだ、もうすぐで注文だね」
そんなまこちゃんの一言で思い出したが、悶々と考えていたせいで、アイスを何にするか決めてなかった自分に気がついた。
ぁ…どうしよう…。
焦るとろくなことはないもので、余計に決まらない。そんな間にまこちゃん、そしてりかの注文が終わっていた。“お次のお客様”と、店員さんからの視線を感じれば感じるほどに、おどおどしてしまう。
「ぇ、あ、その…」
チョコとバニラ…ど、どっちにしよう…。
選択しなければならない焦りに食わせて、自分が選択をしていないせいで、後ろの”お客さんも早く決めろ”と言わんばかりの見えない視線を感じる。悲しい負のスパイラルに嵌っていくかの如く、私の思考が余計に止まりそうになってしまう。
「バニラください!」
そんな時、とっさに答えたのは私じゃない、りかだった。
「ほんとりんは優柔不断なんだから~。だいたいチョコとバニラで迷ってたんでしょ。私チョコ頼んだから私の少しあげる。」
「あ、ごめん…ありがとう。」
食の趣味は同じなので、りかには私の考えていることがわかったらしい。
……そして私はまた…りかに助けてもらった。
このままいくと、りかがいないと生きていけなくなりそうで怖い…。
申し訳なさそうにりかを見ると、りかは意味ありげに笑っていた。