←第3話へ
「あれれ~りんちゃん
ドラマはもう終わったんですか~?」
明らかにドラマが終わっていないことなどわかっていながら、軽く挑発をしてくるりかを迫力のない瞳で睨みつける。
「うるさいな…録画したから後でみれるもん!」
矛盾をなんとか指摘しまいとにんまり笑う姿に敗北感を感じてしまう。
…あれからドラマに集中しようとしたにも関わらず、結局りかのことが気になってこっちを優先してしまった。こうやっていつもペースを乱されるのは悔しいけれど、りかが笑っている方が私も嬉しくなるのでまぁいいかと思ってしまう。
「私が洗ってあげる」
さっきの怒りがまるでなかったことかのように、やけに上機嫌なりかがシャンプーを取り出し私の頭につけて泡立ててくる。
…うん、わかりやすい。
「あーー気持ちいい~」
一通り終えて、湯船に浸かったが、未だ上機嫌な様子。向かい合って入った視線の先にニコニコしている表情を見つけて、私もつられてニコニコしていたら、急にりかが私の胸を触ってきた。
「え!?なに!?」
「りん、あんた……」
突然のことに戸惑ってる姿をよそに、眉をひそめてゆっくりと近づいてくる。
「な、なになに!?」
「・・・ちょっと胸大きくなったんじゃない?」
「へぇ?」
なにを言い出すのかと思えば拍子抜けした内容で、呆気に取られている私をよそに、話しながら胸を触り続ける。
「おっかしいなぁ…
顔と体型はほとんど一緒なはずなのに…」
徐々にエスカレートしていく手の動きに動揺を隠せなくなる。
「や、やめ………ひゃっ」
流れで色んな場所に触れられ、自分でも初めてきいたような、上ずった変な声が漏れる。
「気持ちよかったの?」
私とは裏腹に、不敵な笑みを浮かべて私の方へ近寄ってくる姿は、双子なはずなのになんだか知らない人に見えてきて妙に動機が激しくなる。後少しで唇が触れるんじゃないかという距離で思わず目を瞑ったら、耳元で急に息を吹きかけられて体の筋肉が少しひきつってしまった。
「んもう!!!私で遊ばないでよ~~」
りかの悪ノリに耐えきれず、湯船から立ち上がる。
「りんちゃん全身真っ赤だよ」
「もうよくわかんないよー、りかのバカー!!!」
逃げるように脱衣所に出て、体中で感じられる動悸を落ち着かせる。いつもは普通にお風呂タイムなはずなのに…たまにからかいの度が過ぎるのは、もう少し月日を重ねたら落ち着くんだろうか…。